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日時:平成24年10月22日(月)午後1時 〜 10月23日(火)午後1時
場所:物性研究所6階セミナー室(本館A615室)
提案代表者:広井善二(物性研究所)
共同提案者:陰山 洋(京都大学)
野原 実(岡山大学)
上田 寛(物性研究所)
強相関電子系に関する研究は,現在の物性物理学において最も多くの研究者人口を有する重要な分野である.その舞台となる強相関物質開発に関する研究は,銅酸化物高温超伝導体の発見を大きな契機として,さらに対象とする物質の枠を広げ,新しい測定手段を取り入れることにより着実に進歩を遂げており,この分野は今後も益々発展するものと思われる.
物性研究所はこれまで強相関電子系の新物質開発において日本の中心拠点の一つとして大きな貢献をしてきた.その研究の流れをさらに推し進めるためには,新物質開発の現状を詳細に検討し,今後進むべき方向を見極めることが重要である.本ワークショップでは,現在,強相関電子系物質分野を主導している研究者と今後の活躍が期待されている若手研究者が一堂に会して集中的な議論を行う事により,新たな研究の展開を図ることを目的とする.さらに所内の物性実験や理論グループからの参加により活発な議論が期待される.
ワークショップには,講演者14名を含む計60名以上の参加者があり,非常に活発な質疑応答が行われた.様々な物質の合成と物性に関する発表がなされ,最近発見された新超伝導体についても興味深い報告がなされた.本ワークショップは強相関電子系分野における新物質研究の今後の展望を与えるよい機会となった.さらに,この分野において今後,物性研究所が果たすべき役割とそのプレゼンスを高めるための方策を考える上で重要な示唆を与えた.一方,物質関係の若手研究者が集まることを通して,コミュニティー作りに貢献したことも特筆すべき点である.今後もこのような機会を設けて物質研究を盛り上げ,物性研究の基盤を形成していくことが重要であろう.
ISSPワークショップ「強相関物質開発の最前線」報告
2012/10/23