Welcome everybody
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われわれの研究におけるバックグラウンドは固体化学(Solid State Chemistry)です。広くとらえれば、Materials Scienceでしょう。固体物理学(Solid State Physics)は広く市民権を得ている学問分野ですが、固体化学が何を研究する学問かはあまり知られていないと思います。固体化学は、固相(solid state)にある物質を合成し、組成・構造を調べ、様々な物性を測定してその起源を理解することを目的とする学問です。固体物理学が物性の普遍的な原理を追究するのに対し、固体化学は物質の個性を愛する学問です。
当研究室の学生さんは自分で何らかの物質を合成し、様々な評価を行い、その課程で化学的な手法を学びます。さらに自分の試料について物性測定を行い、得られた磁性、電気伝導性、比熱などに関する実験データを解釈することを通して物理的な考え方を学びます。物質が異なればどちらの手法も異なります。固体化学者は様々な物質に出会うことで、その物質により育てられるということができます。
我々の研究において最も重要なのは化学的なセンスです。すべての可能性を考え実験を行い論理的に結論を導くという物理のやり方は通用しません。合成におけるパラメータの組み合わせは無限にあり、どれを選ぶかは経験と勘によります。また、同じ実験をやっても人によって微妙に違う結果が出てくるものです。どこかに辿り着けるかは根性次第です。でも、概して遊び半分でやったものが当たったりするものですが。問題はこのようなプロセスを楽しんでやれるかどうかです。好きでなければやる意味はありません。
もちろん物理的な考え方や知識は大いに役立ちます。作った試料が面白いかどうかの判断はある程度の物理の知識を必要とします。真に物質を理解するためには化学と物理のバランスよい理解が大きな力となります。
当研究室は、以上のようなわれわれの研究スタンスを理解し、共にがんばってみたいと思われる方を歓迎します。
進学を考えている学生さんへ
2012/02/06