研究方針と展望

当研究室は、

 種々の合成手法を駆使して新しい遷移金属酸化物を掘り起こし、エキゾチックな量子現象を示す新規な強相関電子系を探索する、

をモットーに研究を行っています。


 銅酸化物における高温超伝導の発見以来、強相関電子系の研究は大きな注目を集めています。通常の金属ではフェルミ面近くの電子がお互いに弱く相互作用しながら動き回っていますが、銅酸化物のような強相関電子系では、電子間の強いクーロン相互作用のために身動きできなくなって局在してしまいます。ところが、そこにホールを導入すると(穴をあけると)、局在していた電子たちが動き出し、この時、典型的なマクロな量子現象である超伝導が非常に高温で劇的に現れます。現時点ではそのメカニズムははっきりと解明されていませんが、局在と伝導の狭間に電子の持つ電荷とスピンの自由度が複雑に絡み合った新しい物理が潜んでいると考えられています。

 というような物理の話を横目で眺めながら、もっと面白いことはないかと物質探索をして遊んでいるのがわれわれです。ここ10年の物性物理をひっくり返したのは、1986年のBednortzとMullerによる銅酸化物高温超伝導の発見でした。それまで何十年も努力が繰り返されてきた高温超伝導への道が彼らの発見によって大きく開かれたのです。彼らはこの仕事によってノーベル物理学賞をもらいました。面白い新物質の発見が如何に物性物理にインパクトを与えるかを如実に示した例といえます。

 2匹目のドジョウを同じ柳の下で探すのはなかなか難しそうです。ひょっとしたら隣の柳がいいかもしれません。または、ずっと遠くの桜の木の下に宝物が埋まっているかもしれません。てな具合に、適当に物探しをしているうちにメダカぐらいは見つかるだろうと楽観的にやってます(そうでなければやってられない)。

 しかしながら、最近少し目先を変えて新しい分野にも挑戦してみようと考えています。それは

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